学研全訳古語辞典 |
おも-て 【表】
①
表面。外面。
出典土佐日記 二・五
「うちつけに、海は鏡のおもてのごとなりぬれば」
[訳] あっという間に、海は鏡の表面のように(静かに)なったので。
②
前面。正面。
出典平家物語 七・俱梨迦羅落
「両方百騎づつ、陣のおもてに進んだり」
[訳] 両方の百騎ずつが、陣営の前面に進んだ。
③
連歌(れんが)・俳諧(はいかい)で、連句を書き付ける懐紙の、二つに折った表側の面。多くの場合は一枚目の紙の表、またはそこに記載する句をいう。[反対語]①~③裏。
-おも-て 【表】
①
…向き。ある面に面している方。「北おもて」「南おもて」。
②
…の方。その方面。「江戸おもて」「国おもて」
おも-て 【面】
①
顔面。顔。
出典枕草子 清涼殿の丑寅のすみの
「おもてさへ赤みてぞ、思ひ乱るるや」
[訳] 顔まで赤くなって、途方にくれることだ。
②
体面。面目。
出典源氏物語 賢木
「いづこをおもてにてかは、またも見え奉らむ」
[訳] 何の面目あって、再び(藤壺(ふじつぼ)に)お目にかかれようか、いや、かかれない。
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