学研全訳古語辞典 |
さみだれの…
分類俳句
「五月雨の降り残してや光堂(ひかりだう)」
出典奥の細道 平泉・芭蕉(ばせう)
[訳] 年々降り続いて、すべての物を朽ちさせてきた五月雨も、この光堂だけは降り残したのだろうか。その名のように、数百年を経た今も光り輝いているよ。
鑑賞
「光堂」は平泉中尊寺の金色堂(こんじきどう)のこと。初案は「五月雨や年々(としどし)降りて五百たび」で、芭蕉の脳裏には実景と五百年という歴史への感慨が二重映しになっているのであり、さらに、時間の浸食に耐える光堂のまばゆい姿は、直前に描かれた高館(たかだち)の廃墟(はいきよ)のさまと、まことに対照的である。季語は「五月雨」で、季は夏。
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