学研全訳古語辞典 |
ゆめ 【努・勤】
①
〔下に禁止・命令表現を伴って〕決して。必ず。
出典和泉式部
「かかること、ゆめ人に言ふな」
[訳] こんなことは、決して他人に言うな。
②
〔下に打消の語を伴って〕まったく。少しも。
出典落窪物語 三
「落窪(おちくぼ)の君とゆめ知らず」
[訳] 落窪の君とまったく知らない。
ゆめ 【夢】
①
夢。睡眠中に見る幻覚。
出典新古今集 羇旅・伊勢物語九
「駿河(するが)なる宇津(うつ)の山べのうつつにもゆめにも人に逢(あ)はぬなりけり」
[訳] ⇒するがなる…。
②
夢のようなこと。▽非現実的な、または、はかないこと。
出典源氏物語 花宴
「かの有明(ありあけ)の君は、はかなかりしゆめを思(おぼ)し出(い)でて」
[訳] 例の有明の女君は、あっけなかった夢のようなこと(=あの一夜のこと)をお思い出しになって。
③
迷い。煩悩(ぼんのう)。
出典源氏物語 若紫
「吹き迷ふ深山(みやま)おろしにゆめさめて」
[訳] 吹き乱れる奥山から吹きおろす風につれて聞こえてくるお経の声に煩悩の夢が覚めて。
ゆめのページへのリンク |