学研全訳古語辞典 |
かえる 【返る・帰る】
⇒かへる
かへ・る 【返る】
活用{ら/り/る/る/れ/れ}
①
(もとのところに)戻る。帰る。
出典古今集 離別
「立ち別れいなばの山の峰に生(お)ふるまつとし聞かば今かへり来(こ)む」
[訳] ⇒たちわかれ…。◇「帰る」とも書く。
②
(もとの状態に)戻る。返る。
出典源氏物語 若菜上
「若々しく、古(いにしへ)にかへりて、語らひ給(たま)ふ」
[訳] 若々しく、昔に戻って語り合いなさる。
③
(年が)改まる。新しい年になる。
出典源氏物語 若菜上
「年もかへりぬ」
[訳] 年も改まった。
④
裏返しになる。ひっくり返る。
出典万葉集 五五七
「大船を漕(こ)ぎの進みに岩に触れかへらばかへれ」
[訳] 大船をいっせいに漕ぎ進め、岩に触れてひっくり返るならひっくり返れ(あなたのためなら)。◇「反る」とも書く。
⑤
(波が)返る。戻って行く。
出典伊勢物語 七
「いとどしく過ぎゆく方の恋しきにうらやましくもかへる波かな」
[訳] ただでさえ過ぎ去っていく方角が恋しいのに、うらやましくも寄せては返る波だなあ。
⑥
(色が)あせる。(美しさが)衰える。
出典枕草子 野分のまたの日こそ
「生絹(すずし)の単(ひとへ)のいみじうほころびたえ、花もかへり濡(ぬ)れなどしたる」
[訳] 生絹の単衣(ひとえぎぬ)のたいそう着くずれて、薄い藍(あい)色があせてぬれたりなどしている。
活用{ら/り/る/る/れ/れ}
〔動詞の連用形に付いて〕ほとんど…するほどになる。ひどく…する。▽程度がはなはだしいことを表す。
出典源氏物語 夕顔
「死にかへり思ふ心は、知り給(たま)へりや」
[訳] ほとんど死にそうなほどあなたを思う私の心は、知っていらっしゃるか。
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