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せむの意味

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学研全訳古語辞典

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せ-・む 【為む】

分類連語


〔「む」が推量の意の場合〕するだろう。


出典枕草子 四月、祭の頃


「たどたどしきを聞きつけたらむは、なにここちかせむ」


[訳] (ほととぎすが)心もとなく鳴いたのを聞きつけたようなのは、いったいどんな気持ちがするだろう(=すばらしい)。


〔「む」が意志の意の場合〕しよう。


出典土佐日記 二・五


「またも恋ふる力にせむ、となるべし」


[訳] また再び恋い慕う力にしようというのだろう。


なりたち

サ変動詞「す」の未然形+推量・意志の助動詞「む」



せ・む 【責む】

他動詞マ行下二段活用

活用{め/め/む/むる/むれ/めよ}


とがめる。なじる。責める。


出典宇治拾遺 六・四


「双六(すごろく)を打ちけるが、多く負けて、渡すべき物なかりけるに、いたくせめければ」


[訳] (若侍は)双六を打ったが、さんざん負けて、(相手に)与えることができそうな物がなかったときに、(相手が)とても責めたので。


催促する。せがむ。強要する。


出典奥の細道 象潟


「江山(かうさん)水陸の風光数を尽くして、今、象潟(きさかた)に方寸(はうすん)をせむ」


[訳] 川や山、海や陸のすばらしい景色をたくさん見てきて、今、象潟へと心がせきたてられる。


悩ます。苦しめる。


出典古今集 雑体


「冬は霜にぞせめらるる」


[訳] 冬は霜に苦しめられる。


追究する。求める。


出典三冊子 俳論


「せむるものはその地に足を据ゑがたく、一歩自然(じねん)に進む理(ことわり)なり」


[訳] (風雅の誠を)追究する者は、いつまでも同じところに満足してはいられないから、自然に一歩前に進むことになる道理である。


馬を乗りならす。調教する。



せ・む 【迫む・逼む・攻む】

[一]自動詞マ行下二段活用

活用{め/め/む/むる/むれ/めよ}


近づき迫(せま)る。差し迫る。おしつまる。


出典宇治拾遺 三・六


「家の隣より火いできて、風押し覆ひてせめければ」


[訳] 家の隣(の家)から出火して、風が(その火を)おおいかぶせて差し迫ってきたので。


[二]他動詞マ行下二段活用

活用{め/め/む/むる/むれ/めよ}


追いつめる。押し寄せて戦う。攻撃する。


出典徒然草 五九


「無常の来たることは、水火のせむるよりも速やかに、のがれがたきものを」


[訳] 死の到来することは、水や火が押し寄せてくるのよりも速くて、逃げられないものなのに。


ぴったりと身につける。


出典平家物語 二・教訓状


「黒糸縅(くろいとをどし)の腹巻の、白金物(しろがなもの)打ったる胸板せめて」


[訳] 黒糸で縅した腹巻で、銀の金具を打ってある胸板をぴったりと身につけて。








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