学研全訳古語辞典 |
き-・す 【帰す】
活用{せ/し/す/する/すれ/せよ}
①
最後に一つのところに落ち着く。帰着する。
出典平家物語 一〇・戒文
「責め一人(いちにん)にきすとかや申し候ふなれば」
[訳] 責任は結局一人に帰着するとか申しますので。
②
従う。帰服する。
出典平治物語 上
「人に志をあらはせば、必ずきす」
[訳] 人に誠意を見せれば、必ず(人は)従う。
③
帰依する。
出典平家物語 七・平家山門連署
「久しく法相大乗(ほつさうだいじよう)の宗(しゆう)をきす」
[訳] 長く法相宗の広大な教えに帰依する。
き-・す 【期す】
活用{せ/し/す/する/すれ/せよ}
①
時日を定める。
出典枕草子 故殿の御ために
「月、秋ときして」
[訳] 月は、秋と時日を定めて(美しく輝き)。
②
約束する。
出典枕草子 五月ばかり、月もなう
「殿上にていひきしつる本意(ほい)もなくては」
[訳] 殿上の間で話し合って約束した目的も遂げずに。
注意
「期す」を「ごす」と読むと、別語。
き・す 【着す】
活用{せ/せ/す/する/すれ/せよ}
①
身に着けさせる。着せる。置く。
出典古事記 景行
「太刀佩(は)けましを衣(きぬ)きせましを」
[訳] (一本松が人なら)太刀を腰におびさせるだろうに、着物を身に着けさせるだろうに。
②
(恩・恨みなどを)こうむらせる。受けさせる。
出典猿源氏草紙 御伽
「果てなば、長き怨(うら)みをきすべし」
[訳] 死んでしまうと、長い恨みを受けさせるであろう。
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