学研全訳古語辞典 |
くん-・ず 【屈ず】
{語幹〈くん〉}気がめいる。心がふさぐ。ふさぎ込む。
出典更級日記 太井川
「面影に覚えて悲しければ、月の興も覚えず、くんじ臥(ふ)しぬ」
[訳] (別れてきた乳母の)面影が思い浮かんで悲しいので、月の興趣も感じられなくて、ふさぎ込んで横になった。
参考
「屈(くつ)す」と同じ語源。その促音「つ」の表記が固定していなかった時期、「屈す」は「くんす」と表記した。その「くんす」を文字どおりに読み、さらにサ変動詞の語尾「す」がその「ん」の影響で濁音になった。
くん-・ず 【薫ず】
活用{ぜ/じ/ず/ずる/ずれ/ぜよ}
かおる。におう。
出典平家物語 三・大塔建立
「異香(いきやう)すなはちくんじたり」
[訳] 珍しい香りがたちまちにおった。
活用{ぜ/じ/ず/ずる/ずれ/ぜよ}
かおらせる。におわせる。
出典栄花物語 鳥の舞
「さまざまの香をたきてくんじ合はせたるほど」
[訳] いろいろな香をたいてかおらせ合わせているうち。
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