学研全訳古語辞典 |
さねさし
分類枕詞
国名「相模(さがむ)」にかかる。語義・かかる理由未詳。「さねさし相模(さがむ)」
さねさし…
分類和歌
「さねさし(=枕詞(まくらことば))相模(さがむ)の小野に燃ゆる火の火中(ほなか)に立ちて問ひし君はも」
出典古事記 弟橘比売命(おとたちばなひめのみこと)
[訳] 相模(さがみ)(神奈川県)の野で燃え盛る炎の中に立ち、私の安否を気遣い呼びかけてくださったあなたよ。
鑑賞
倭建命(やまとたけるのみこと)が東征の途中、走水(はしりみず)の海(=浦賀水道)で后の弟橘比売命が海神の怒りを鎮(しず)めるために自ら進んで入水(じゆすい)した。そのときに后が詠んだ別れの歌。国造(くにつくり)にはかられて火攻めにあった折に、燃える火の中で倭建命が自分を気遣ってくれたことを、深い愛情とともに思い出している。ただし、物語から独立した一首と読めば、「春の野焼きの火の中で私に言い寄ったあなたよ」の意で、古代の農村女性の恋の歌ということになる。「はも」は詠嘆の意を表す連語。
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