学研全訳古語辞典 |
よろ・し 【宜し】
活用{(しく)・しから/しく・しかり/し/しき・しかる/しけれ/しかれ}
①
まずまずだ。まあよい。悪くない。
出典方丈記
「笠(かさ)うち着、足ひき包み、よろしき姿したる者、ひたすらに家ごとに、乞ひありく」
[訳] 笠をかぶり、足を脚袢(きやはん)でくるみ、まずまずの身なりをした者が、必死で家ごとに物乞いをして歩く。
②
好ましい。満足できる。
出典万葉集 一八八五
「物みなは新(あら)たしきよしただしくも人は旧(ふる)きしよろしかるべし」
[訳] 物は新しいのがよい。しかしながら人だけは年とって古くなったのが好ましいにちがいない。
③
ふさわしい。適当だ。
出典土佐日記 一・一三
「湯浴(ゆあ)みなどせむとて、あたりのよろしき所におりて行く」
[訳] 水浴びでもしようと、そのあたりの(海の)適当な所に下りて行く。
④
普通だ。ありふれている。たいしたことはない。
出典更級日記 子忍びの森
「事よろしきときこそ腰折れかかりたることも思ひ続けけれ」
[訳] (悲しみが)たいしたことではないときは、調子のくずれた下手な歌を詠みもしたものだが。
参考
⇒よし
参考
・わろし
参考
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