学研全訳古語辞典 |
うち-なび・く 【打ち靡く】
活用{か/き/く/く/け/け}
①
(草・髪などが)なびく。
出典枕草子 草の花は
「朝霧にぬれてうちなびきたるは」
[訳] 朝霧にぬれてなびいているのは。
②
(人が)横になる。横たわる。
出典万葉集 四六
「安騎(あき)の野に宿る旅人うちなびき」
[訳] 安騎の野に仮寝をする旅人(=軽皇子(かるのみこ))は横になって。
③
心が、ある方になびく。
(ア)
慕う。
出典万葉集 三九九三
「ほととぎす鳴きし響(とよ)めばうちなびく心もしのに」
[訳] ほととぎすが鳴き立てているので慕う心もしおれて。
(イ)
服従する。
出典源氏物語 椎本
「人の言(こと)にうちなびき」
[訳] 男の言葉に服従し。◆「うち」は接頭語。
活用{け/け/く/くる/くれ/けよ}
服従させる。
出典太平記 三
「国中をうちなびけ」
[訳] 国中を服従させ。◆「うち」は接頭語。
うち-なびく 【打ち靡く】
分類枕詞
なびくようすから、「草」「黒髪」にかかる。また、春になると草木の葉がもえ出て盛んに茂り、なびくことから、「春」にかかる。
出典万葉集 一八三〇
「うちなびく春さり来れば」
[訳] 春が来ると。
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