学研全訳古語辞典 |
さ-かし 【然かし】
分類連語
そうだね。なるほどそうだ。
出典源氏物語 空蟬
「『さかし、されども』と、をかしく思(おぼ)せど」
[訳] 「そうだね、そうだけれど」と、(源氏は)おかしくお思いになるが。
なりたち
副詞「さ」+終助詞「かし」
さか・し 【賢し】
活用{(しく)・しから/しく・しかり/し/しき・しかる/しけれ/しかれ}
①
賢明だ。賢い。
出典沙石集 九
「国の守(かみ)、眼さかしくして、この主(ぬし)は不実の者、この男は正直の者と見ながら、なほ不審なりければ」
[訳] 国守はものの見方が賢明であって、この主人は不実の者、この男は正直者と判断したが、まだ不審なので。
②
しっかりしている。判断力がある。気丈である。
出典源氏物語 明石
「落ちかかりぬとおぼゆるに、あるかぎりさかしき人なし」
[訳] (雷が頭上に)落ちかかったと思われるので、(そばに)いる者はだれもしっかりしている人はいない。
③
気が利いている。巧みだ。
出典土佐日記 一二・二六
「こと人々のもありけれど、さかしきもなかるべし」
[訳] ほかの人々の(和歌)もあったけれど、気が利いているものはないようである。
④
利口ぶっている。生意気だ。こざかしい。
出典枕草子 清涼殿の丑寅のすみの
「せめて申させ給(たま)へば、さかしう、やがて末まではあらねども」
[訳] (帝(みかど)が)むりに答えさせなさると、(女御は)利口ぶって、ずっと歌の最後までではないのだが。◇「さかしう」はウ音便。
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