学研全訳古語辞典 |
ふる-こと
(一)
【古言】
①
古い言い伝え。
出典日本書紀 神武
「故(ゆゑ)にふることに称(ほめまう)して曰(まう)さく」
[訳] これによって古い言い伝えにお祝いたたえ申し上げて(私が)申し上げることは。
②
古い詩歌・文章。
出典枕草子 殿などのおはしまさで後
「同じふることといひながら、知らぬ人やはある」
[訳] 同じ古い歌といっても、(この歌を)知らない人はいるでしょうか。
③
昔話。
出典源氏物語 蛍
「さて、かかるふることの中に、まろがやうに実法(じはふ)なる痴者(しれもの)の物語はありや」
[訳] さて、このような昔話の中に、私のように律義で愚か者の物語はあるか。
(二)
【古事・故事】昔の出来事。また、昔から伝えられる、いわれのある事柄。故事(こじ)。
出典源氏物語 少女
「笛の音(ね)にも、ふることは伝はるものなり」
[訳] 笛の音にも(昔の聖賢の)故事は伝わるものである。◆「ふるごと」とも。
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