学研全訳古語辞典 |
わたり 【渡り】
①
川を渡ること。また、(川の)渡し場。渡し。
出典新古今集 冬
「駒(こま)とめて袖(そで)うちはらふ陰もなし佐野(さの)のわたりの雪の夕暮れ」
[訳] ⇒こまとめて…。
②
海の、船で渡る場所。海峡など。
③
移転。転居。引っ越し。
④
来訪。▽多く「御わたり」の形で、来ることの尊敬語に用いられる。
出典平家物語 七・忠度都落
「ただ今の御わたりこそ、情けもすぐれて深う、あはれもことに思ひ知られて」
[訳] ただ今のご来訪は、風情も格別に深く、しみじみとした情趣も特に身にしみて感じられて。
注意
同訓の「辺(わた)り」と混同しないこと。
わたり 【辺り】
①
付近。あたり。
出典徒然草 八九
「このわたりに見知れる僧なり」
[訳] このあたりで見知っている僧である。
②
かた。あたり。▽人や人々を間接的にさしていう。
出典源氏物語 末摘花
「すこしゆゑづきて聞こゆるわたりは」
[訳] 少し風情があるようにうわさのあるかたは。
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