学研全訳古語辞典 |
さて-も 【然ても】
①
そうであっても。そういう状態でも。
出典千載集 恋三
「思ひわびさても命はあるものを憂(う)きに堪(た)へぬは涙なりけり」
[訳] ⇒おもひわび…。
②
そのまま。そうして。
出典伊勢物語 八三
「さてもさぶらひてしがなと思へど、公事(おほやけごと)どもありければ」
[訳] そのまま(おそばに)お仕え申し上げていたいと思うけれど、朝廷の行事などもあったので。
ところで。それはそうと。それにしても。
出典大鏡 序
「かへすがへすうれしく対面(たいめ)したるかな。さても、いくつにかなりたまひぬる」
[訳] ほんとうにうれしくお会いしたことだなあ。ところで、(あなたは)いくつにおなりになったか。
なんとまあ。それにしてもまあ。
出典源氏物語 若紫
「さても、いとうつくしかりつる児(ちご)かな」
[訳] それにしてもまあたいへんかわいい子供だったことか。
参考
副詞「さて」に係助詞「も」が付いて一語化したもの。
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